新潟県長岡市栃尾の山あいに、とある学校があります。

 

 

その学校の名は
中野俣(なかのまた)小学校〉。

 

歴史を感じさせてくれる木造校舎のまわりには豊かな自然が広がり、驚くべきことに校庭には鳥居と神社があるという、珍しい学校でもあります。

 

 

144年もの歴史をもつこの学校は、平成29年度をもって閉校することが決定されました。

 

 

 

 

平成29年10月21日、間近に控えた閉校記念式典に合わせ

ナカノマタノアカリ☆アートプロジェクト

が行われました。

 

 

 

「学校としての役目を終えるこの場所を、目に、心の中に焼き付けてもらいたい」

「人生の大切な宝物として大事にしていってほしい」

 

 

そんな先生方の想い、そしてその想いに共感したトチオノアカリ協議会の行動が結晶となり、数ヶ月の準備期間を経てその日は迎えられました。

 

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日が沈み、夕空が少しづつその表情を変えていくと、やわらかなあかりに包まれた校舎が浮かび上がりました。

 

 

 

校舎へと続く道や、いきものたちの暮らす池、校庭の遊具もあかりに包まれ、叙情的な風景は、校舎と溶け合うように広がっていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつては校舎がもう一つあったそうですが、震災で大きな被害があったため取り壊され、その場所には“いろり”が設けられるようになりました。

 

 

どこか懐かしような感じもするのですが、いろりを知らない人(筆者含め)には新鮮な風景。

 

 

〈ぽっぽ庵〉と呼ばれるその場所にも飾り付けがされていました。

 

 

 

そこにはどこかで見たことのあるミラーボールの姿が。

 

 

 

〈トチオノアカリ〉ではお寺を幻想的な空間へと変貌させた球体が、静かな静かな山あいにも出現。

 

 

回転しながら光を放つ様子はやはり幻想的で、まるで星空の下で灯りに集っているかのようでした。

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感傷的でも、懐古的でもない、ただ

「こころがあたたかくなる時間」

そんな時間が流れていきました。

 

 

 

 

ふと、
もうすぐ長い間刻んできた“歴史”という時計の針を止める校舎は、どんな気持ちなんだろう。
そんなことを考えました。

晴れの日も、雨の日も、雪の日も変わらず子どもたちを見守り育んできた大きな存在。

数えきれないほどの生徒が巣立っていくのを、繰り返し見届け続けた年月。

そこには嬉しさもあったでしょうし、寂しさもあったかもしれません。

 

 

 

 

“小学校6年間”という時間は、人生の中で言えばほんのわずかなものです。

ですが、振り返ってみるとそこで過ごした思い出はかけがえのないもので、楽しかったこと、嫌だったこと、覚えていったこと……

それらすべてが“自分”をつくっていく中でも重要なものだったと、誰もが気づくのでは無いでしょうか。

 

 

 

「今まで本当にありがとう」

 

 

 

それは、卒業生・先生だけでなく校舎にとっても共通の気持ちなのかもしれません。

 

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わたしたちの住む新潟県、広く考えれば日本は今後も少子高齢化が進んでいくと言われています。

恐らくこれから10年の間に、その役目を終える学校も各地域で増加することでしょう。

現状、栃尾のような過疎地では、その波を止めるすべはありません。

 

 

 

 

今回の中野俣小学校をきっかけに、というわけでもありませんが

歴史を築いてきたものたちに

新しい価値・生命を与える

そして、

未来をつくる場所として再び活用する

それを真剣に考える時が来た、と思うようになりました。

 

 

 

先のことなんて誰にも分かりませんが、黙って現実から目をそらしていても何も変わりません。

1人でも多くの人が自分たちの暮らすまちのことに興味を持ち、

今できること

を少しでも行動に移していく。
いきなり大きなことをするのは難しい。

まずは自分の”想い”を頭に、心の中に描く、それだけでも十分です。

 

 

さらに、できることであれば、その“想い”を誰かに伝えてみましょう。家族や親しい友人にさりげなく話してみてもいいですし、ノートに書いてみるのも有効です。

 

 

“想い”は行動に移すとより強くなるものです。

 

 

綺麗事と言われるかもしれませんが、“想い”は連鎖反応を呼び、繋がっていきます。
点と点が線となり、線と線が面となる

 

 

 

その時が来るために、わたしたちは不器用でも一歩づつ前に歩み続けます。
少々、アツくなってしまいましたが最後までお付き合いいただきありがとうございました。

良かったらみなさまのご意見・ご感想もお聞かせください(^^)

10月14日・15日に開催された
〈トチオノアカリ〉。

当日の模様をお伝えする記事の後篇です。

※前篇の記事はこちらから↓↓↓

トチオノアカリ2017~前篇~


 

今回は糸繰りランプとともに夜を彩った“インスタレーション“、秋葉神社を舞台にした“秋葉百八風鈴灯”のお話。

それではお楽しみください。
 

~インスタレーション~

空間そのものを構成・変化させ、アート作品として体験してもらう現代美術の表現技法、インスタレーション。

トチオノアカリでは、地元を拠点に活動する団体・クリエイター、地域の学生らがそれぞれ異なる世界観の作品を創り出しました。

非日常を演出してくれたインスタレーションやオブジェの数々をご紹介します。
 

【作成団体】高見 梨花子&刈谷田中学校

【作品名】STONE POWER

刈谷田川で行われる“石積み”をイメージした作品。

〈石積み〉
親より先に亡くなった子は、親不孝の罪から賽(さい)の河原で石積みをさせられると言われています。
地獄の釜が休みになるお盆入りの8月7日、子どもたちに代わって石積みをする
という栃尾の伝統行事です。

刈谷田川と西谷川、二つの川が一つに合流する様子、積み上げられた石の様子が輝くインスタレーションとして再現されていました。

 

 

【作成団体】秋葉中学校

【作品名】秋葉の灯り

栃尾産の和紙を使ったランプ、田植えで使う木枠など、地元ゆかりのものを使ったインスタレーション。

やわらかな灯りに心癒される空間でした。

 

見に来た人たちにランプを飾ってもらう、というのもステキだなと思いました。
 

【作成団体】栃尾高校美術部

【作品名】栃尾の明かり

家に帰るときに見る、栃尾の町をイメージしたインスタレーション。

素朴な町並みや家々の明かり。そこに暮らす人びとの心のあたたかさが表現されていました。
 

【作成団体】栃尾高校書道部&書道選択者

【作品名】栃高書『十二支物語』2017

動物たちの十二支物語を“書道”と“立体作品”で表現。

 

 

 

 

織布の染めかたにも伝統的な技法を取り入れるなど、工夫がこらされていました。

 

 

 

【作成団体 】長岡造形大学 ち~むらぁめん

【作品名】つなぐ

「つながるてまり」をテーマにした作品。

 

 

糸をつなぎ、自然を感じ伝統をつなげていく、という想いが込められています。

色鮮やかな“とちおてまり”が神秘的なお堂の中、宝石のように煌めいていました。
 

【作成団体】なじですかい

【作品名】お月見影絵でなじですかい♪

森の中で動物たちとお月見。まるで絵本の中から飛び出してきたような空間で、親子連れにも人気だった作品です。

 

中の様子が外から見ると影絵として楽しめるしかけもステキでした。

 

 

 

【作成団体】とちラボ & 南小4年生

【作品名】The 67 Hopefuls

お寺×ミラーボール。

異色とも言えるコラボレーションですが、星空、あるいは宇宙をイメージさせる空間は見る人を別世界へと連れていってくれました。

100個以上の小さなミラーボールは栃尾南小学校4年生が親子で手づくりしたもの。

 

 

まるで、子どもたちの未来・希望を現すように、まばゆい光を放っていました。

ちなみに、ミラーボールづくりの様子はこちらからご覧になれます。↓↓↓

小学校でミラーボールづくり☆

良かったらご覧ください(^^)
 

【作成団体】SH11NAWORKS

【作品名】小さな隣人

今回唯一、長岡/栃尾地域外からの参加となった世界を旅するグラフィックアーティスト『SH11NA』。

スプレーペイントで描かれた絵は、山の木々と共に光で照らされ、生命力を持って夜の神社に浮かび上がっていました。

 

 

 
【作成団体】山下 徹(個人での参加)

【作品名】渦の間

栃尾在住、流浪の画家『山下 徹』。

独自の世界観を持つ彼の作品がトチオノアカリ初登場となりました。

「繊維を巻き取る行為からインスピレーションを得た」

という言葉の通り、ぐるぐると回る影が印象に残りました。

写真からは分からないかもしれないですが、実は回転しているのは“蚊取り線香”。

トオルワールド全開です。
 

【作成団体】MO.

【作品名】sanctuary

荒涼とした地にそびえる謎の立体物。

少し不気味さも感じさせる空間は、今回のインスタレーションの中でも際立っていました。

ちなみに、、、この辺り、心霊スポットとしても知られているのです。

【作成団体】火祭り実行委員会

【作品名】大般若

毎年7月24日に行われる秋葉の火祭り。

一年に一度しか見られない大般若で行われる万燈を、トチオノアカリでも実現。

 

 

荘厳な灯りに包まれた本堂が神秘的でした。

そして、この灯りは秋葉神社への参道へと繋がります。

 

 

 

 

 

秋葉百八風鈴灯

秋葉信仰の総本山、栃尾の秋葉神社。

常安寺から続く石階段を昇り、竹と風鈴のアーチをくぐると、そこには幻想的な風景が広がります。

やわらかなろうそくや竹灯籠の灯り、本堂を照らすランプ。

この地で『火防せの神』として信仰されている、
『秋葉三尺坊大権現』※あきばさんじゃくぼうだいごんげ
の壮大なオブジェも神々しい輝きを放っていました。

また、長岡造形大学生によるインスタレーション『トチオニウミ』も、秋葉神社の新たなる魅力を引き出していました。

海に暮らす生きものたちが芝生や境内で泳ぐ様子を表現した作品は、この地が持つ、ふしぎな力に導かれやってきたかのように躍動感に溢れていました。
 

 
2回に渡りお届けした、トチオノアカリ2017の記事はいかがでしたか?

筆者個人の感想としては、織物のまちとしての歴史が刻まれた糸繰り木枠を使った“糸繰りランプ”、このランプがこの物語の主軸かなと思っています。

正直に言うと、最初は木枠が何に使われるものなのかさえ知らなかったし、そもそも「栃尾は織物のまち」と言われても実感が湧かないのが本音でした。(地場産業者様ごめんなさい。)

トチオノアカリを通じて、おじいちゃん・おばあちゃんが糸繰り木枠を、古き良き時代を懐かしみ、この町のお話を子どもや孫に伝える。

そして、子ども・孫はランプとして現代に甦った木枠に糸や布を巻き、新たな命を込める。

過去と未来が繋がる瞬間を、確かに見ることができました。
 

また、ランプに導かれるように、まちを彩っていた様々なあかりにも創った人々の“想い”が込められています。

古くから火や炎には神々が宿ると言われ、わたしたち人類はその灯りのもとに集ってきました。

あかりには人々の心と体を温め、癒してくれる、そんな力があります。

栃尾での〈あかりの祭典〉をきっかけに、地元はもちろん、様々なまちから人々が栃尾に集い、魅力を体験してもらい、未来を語り合う。

そんな物語が紡がれていってほしいと思います。

長文となりましが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

良かったら、みなさまのご感想もお聞かせいただければ嬉しいです(^^)